BMCのCNTバイク
2005年のツール・ド・フランスでは,カーボンナノチューブ(CNT)を使ったバイクが投入された.BMC・プロマシーンSLC01である.Easton Composites Inc.とスイスのバイクメーカーBMC. The SLC01による.サンチャゴ・ボテーロ,フロイド・ランディス,オスカル・ペレイロなどがこれで走った.ペレイロは山岳の第15ステージで優勝した.最近,このバイクが市販され始めたそうだ(link).フレーム重量は1kgを切っている.しかし値段は約50万円.
2005年のツール・ド・フランスでは,カーボンナノチューブ(CNT)を使ったバイクが投入された.BMC・プロマシーンSLC01である.Easton Composites Inc.とスイスのバイクメーカーBMC. The SLC01による.サンチャゴ・ボテーロ,フロイド・ランディス,オスカル・ペレイロなどがこれで走った.ペレイロは山岳の第15ステージで優勝した.最近,このバイクが市販され始めたそうだ(link).フレーム重量は1kgを切っている.しかし値段は約50万円.
2006年1月12~13日にアリゾナ州立大学で,Forbidding Science? Balancing Freedom, Security, Innovation, & Precaution(禁断の科学?自由,安全,革新,予防をバランスさせる)というイベントが行われた(link).ビデオとプレゼン内容が見れる.そのパネル4では,ケーススタディとしてナノテクノロジーが取り上げられた.報告は次のとおり.
最初は,アリゾナ州立大学のStuart Lindsay氏.肩書きは,化学,生化学/物理学,天文学教授.2番目は,ナノテクのモラトリアムを訴えているETCグループのHope Shand氏.ETCの意味は,”Erosion, Technology & Concentration”.世界的なガバナンスのために,International Convention on the Evaluation of New Technologies (ICENT)の設置を提唱.3番目は,カリフォルニア大学サンタバーバラ校のW. Patrick McCray氏.彼は歴史学者.ナノ・フィクションとして,「ダイヤモンドエイジ」と「プレイ」とともに「ブラッド・ミュージック」を挙げている.
ウッドロー・ウィルソン国際学術研究センターの”Project on Emerging Nanotechnologies”が,グリーン・ナノテクノロジー("GreenNano")に取り組み始めた.中心にいるのは,EPAのバーバラ・カーン氏.これから会議やシンポジウムが続々行われる予定.考え方は,グリーン・ケミストリーの流れにある(EPAのグリーン・ケミストリー・プログラムやACSのグリーン・ケミストリー研究所)
2月16日,最初の会議 "Green Nanotechnology: What Is It?"(グリーン・ナノテクノロジーとは何か?)がウッドロー・ウィルソン国際学術研究センターで開催された.続いて,3月には,米国化学会の年会で「グリーン・ナノテクノロジー・シンポジウム」が開催されることになっている.
Foresight Nanotech Instituteの昨年10月の第13回会議のときの,プレゼン資料とオーディオがすべて公開されている(link).最近の会議はどんどんこうなっているのでうれしい(ただ報告する身になってみると言ったことがのちのちまで残ってしまうので適当なことは言えないなあとも思ってしまう).
ロンドンのThe Dana Centerで、カードゲーム"DECIDE"を使ったイベントが2月28日開催される。DECIDEは、6つの新規科学問題(主に生命科学)について、グループで議論しながら、それぞれの政策を決定していくゲーム。問題群は、生物間移植、ナノテクノロジー、肝細胞、遺伝子検査、神経科学、HIV/AIDSと法的責任の6つ。ゲーム・キットもダウンロードできる。「情報カード」には基礎的情報が、「問題カード」には様々な見方がとてもバランスよく書かれている。ゲームの結果はホームページからアップロードして、集計結果に反映される。現在8カ国語に翻訳されており、大欧州のパワーを感じる。
調査会社"Cientifica"の報告書「お金はどこに行った?」によると、世界中の政府は1997年から2005年までに180億ドルをナノテクに投資した。加えて他の目的と合わさったものが別に60億ドル。今年は2005年比で25%増の見込み。それに比べてまだナノテクならではの製品の売り上げは数百万ドルにすぎない。投資の効果は2007年あたりから出てくる。
もうひとつの"Lux Research"の報告書「ナノテク・ベンチャー・キャピタルを理解する」によると、1995年以来、ベンチャー投資家は、中小のナノテク企業に20億ドルを投資してきた。調査した143のベンチャー企業のうち、9%だけが買収されたり、上場したりして、投資家が見返りを得られた。83%はまだ操業中であるが、8%は倒産かその危機にある。
ネタ元はここ。
ケヴィン・ドノヴァン監督,ジャッキー・チェン主演『タキシード』.ナノテクという言葉は直接出てこないが,『マイノリティ・レポート』と同様,ナノテクの未来のショーケース映画だ(link).米国政府が実験中のタキシードは,着る人の神経回路をスキャンして(たぶんナノワイヤを神経系に接続させることによって),腕時計でモードを選択すると,タキシードから直接神経回路に指令が届く.最初にジャッキー・チェンがタキシードを着たとき,タキシードの内側にはこんな文字が.
“TUX-1
TACTICAL UNIFORM EXPERIMENT(戦術的ユニフォーム実験)
DRAWING NO. 80-90072
CSA REQ. NO. 187-007-2583
PROPERTY
U.S. GOVERNMENT”
“CSA”というのはこの映画に出てくるCIAのような機関.
原作の「キューティーハニー」では,「天才科学者の如月博士は、ばらばらな状態で空中にある分子を必要に応じて種類ごとに結合、あらゆる物体を作り出す「空中元素固定装置」を完成」させた(Wikipediaより)そうだが,これはまさにドレクスラーの言う分子アセンブラーだ.庵野秀明監督,佐藤江梨子主演『キューティーハニー』(2004)がこれをナノマシンと名づけたのは自然なことだ.同時期に公開されたアニメ「Re:キューティーハニー」ではさらに詳細に描かれているとのこと.如月博士は殺され,それを受け継いだ宇津木博士はパンサークローに誘拐される.如月博士は開発したI-システム(Imaginary induction system: i-system)を娘(如月ハニー)の体内に隠す.
ナノマシンが会話に出てくるところは次の2シーン.
20分「君が倒した戦闘員が蒸発したのも,四天王が人間を超えた能力を発揮できるのも,すべて体内に融合させたナノマシンのおかげなのさ」
38分「やはり如月博士はナノマシンによるクォークレベルでの物質の分解と再構成に成功しておりました」「私に永遠の美をもたらす理想の方法をよもや完成させた人間がいるとは.この世界もあなどれぬな」
2月16日、米国議会上院の商務・科学・交通委員会の議長と副議長は“Developments in Nanotechnology”(ナノテクにおける発展)という公聴会を開催。9人の証人のうちの1人として、ウッドロー・ウィルソン国際学術センターの報告書「ナノテクノロジーの影響を管理する」を書いたJ. Clarence Davies氏が呼ばれた(link)。公聴会の様子はreal playerで見ることができる。2時間半あるが最初の25分はタイトル映っているだけ。
新オンライン雑誌"The Journal of Geoethical Nanotechnology"が創刊(link)。"geoethical"は「地球倫理的」か?あるいは、A. レオポルドの「土地倫理(land ethics)」のようなものか?
創刊号は次の3本の論文。
・Global Design for Geoethical Nanotechnology(地球倫理的ナノテクノロジーのための世界デザイン)
・Alternative Models for Managing Self-Replicating Nanotechnology(自己複製ナノテクノロジーを管理するための代替モデル)
・Astrobiology: What are the Characteristics of Life? (宇宙生物学:生命の特徴は何か?)
米国パーデュー大学で、2月6日、「新規技術をとおして社会を変革する:全米ナノテクノロジーイニシアティブの5年間("Transforming Society Through Emerging Technologies: The National Nanotechnology Initiative (NNI) at Five Years,")というイベントが行われた(link)。ロコさんも参加。このワークショップは、"Buildings for Advanced Technology Workshop III (BAT III)”の一環として行われたようだ。そしてこのワークショップのディナーパーティでは、抽選でiPOD nanoが3人に当たったらしい・・・。
「ナノ毒性学における効果的な研究デザインへの障害を乗り越える("Overcoming Obstacles to Effective Research Design in Nanotoxicology"」という会議がマサチューセッツ州ケンブリッジで開催される(link)。Taylor and Francis社とそこから新しく出る(?)雑誌"Nanotoxicology"が主催のようだ。
AAAS(全米科学振興協会)の年会が、2月16–20日にミズーリ州セントルイスで開催される(link)。プログラムには「ナノテクノロジー・セミナー」があって、「ナノ粒子の毒性学(Toxicology of Nanoparticles)」と「社会科学がナノテクノロジーに従事する(Social Science Engages Nanotechnology)」というセッションもある。
後者がとてもユニークだけど、プログラムは次のとおり。
・Suzanne Brainard, University of Washington
Implications of Interdisciplinarity for Workforce Development(学際的であることが人員育成に対して意味すること)
・Noela Invernizzi, Universidade Federal do Parana, Brazil
Nanotechnology: A Solution to Developing Countries' Problems?(ナノテクノロジー:発展途上国の問題を解決するのか?)
・David Guston, Arizona State University
Center for Nanotechnology in Society at Arizona State University(アリゾナ州立大学の社会におけるナノテクセンターの紹介)
・Barbara Harthorn, University of California, Santa Barbara
Center for Nanotechnology in Society at UC Santa Barbara(カリフォルニア大学サンタバーバラ校の社会におけるナノテクセンターの紹介)
欧州では、2004年5月にコミュニケーション("Towards a European Strategy for Nanotechnology")、続いて、2005年6月に"Action Plan for 2005-2009"が発表されている。現在提案中の"7th Framework Programme"でもナノテクは重要な位置付けが与えられていて、ナノ(生態)毒性学研究に関するテーマが募集されているようだ(pdf)。
Illinois Institute of TechnologyのCenter on Nanotechnology and Societyは、ウェブベースのナノテクノロジーの倫理的、法的、社会的影響(NELSI). に関する公共政策文書についてのウェブ上のデータベースをもうすぐ公開する(link).規制、法律、判例、議会証言、政府報告書などを対象としているらしい.シカゴナノフォーラムでも画面が少し紹介されていた、プロジェクト名は、"NELSI Global"という.「倫理的、法的、社会的影響」の頭文字をとって、"ELSI"というのはよく見かけたが、ナノテクのNをつけて、NELSI(ネルシー)というのは初めて見た.定着するのだろうか?
1月30日に開催された,"Chicago Nano Forum -Brave New Nano: Regulating the Future"の様子がウェブキャストで見れる(link).素早い公開はうれしい.最近急に,ナノテクと法規制をめぐる議論が盛り上がってきた.
1) Sonia E. Miller・・・大柄で声のでかい女性.弁護士.ナノについての法規制が必要かどうかについて既存の報告書が何と言っているか紹介.ウッドロー・ウィルソンやIRGCといった最新のものまで.
2) Kristen Kulinowski・・・ライス大学のCBENおよびICONのエグゼクティブディレクター.
3) Michael Breme・・・唯一の男性.
4) Dawn Willow・・・"Center on Nanotechnology and Society"のナノ関連ELSI(倫理的,法的,社会的影響)資料の電子データベースを担当.
IRGC(国際リスクガバナンス協議会)の"IRGC Working Group on Nanotechnology"からのナノテクガバナンス調査報告シリーズ第一弾「政府の役割」が発表された(link).各国のキーパーソンにアンケートをとってまとめたもの.
Woodrow Wilson International Center for ScholarsのProject on Emerging Nanotechnologiesから報告書「ナノテクノロジーの影響を管理する」("Managing the Effects of Nanotechnology")が1月11日発表された(link).著者はJ. Clarence (Terry) Davies氏.日経新聞も1月13日付けで紹介(「ナノテク新素材『安全規制必要』 米の学術センター 人体へのリスク 警告」)しているが,焦点がずれている.報告書で「管理」すべき影響には,良い影響と悪い影響の両者が含まれていて,潜在的なリスクをできるだけ抑えた上で,潜在的なベネフィットを大きく伸ばすための法制度的な枠組みについて検討されている.前者だけとりあげては片手落ち.
PILOTが,超激細ボールペン"HI-TEC-C"のCMをやっているが,「ナノ」という言葉を使っていない.きっと,使わないという決定をしたんだと思う.と思ったらこれは「女子は選びたい篇」で,「技術者篇」の方で「ナノゲルインキ」という言葉が一瞬出てるのを発見(link).「ナノ」を前面に出すかどうかの判断は会社によって分かれていておもしろい.
アリゾナ州立大学(ASU)の"Center for Nanotechnology in Society"(CNS)は,10月にNSFから620万ドの資金を得て設立.1月30日に立ち上げイベント(Public Forum on Nanotechnology in Society)を開催する(link).CNSの主要な研究テーマは,1)自由,プライバシー,安全保障,2)人間の本性,機能強化,生物学,だそうだ..
1月23日,カリフォルニア州サンタバーバラを拠点とするNPOである,Nanoethics Groupは,さまざまなジャンルの30人の専門家からなる諮問委員会(Advisory Board)を立ち上げた.メンバーリストはここ.
“APS Pharmaceutical Nanotechnology” Nanoscale toxicology: lessons from drug delivery.が2月27日,ロンドンで開催(link).主催は,The Academy of Pharmaceutical Sciences.
American Public Health Associationは,公衆衛生に関する19の方針を採択(link).このうちの1つの項目に「ナノテクのための研究資金を増やす」があり,少なくとも年間1億ドルを,今後数年にわたって,ナノ材料の職業および環境衛生,安全影響に関する研究に向けるよう議会に要請.
株式会社パイロットコーポレーションから発売されている「ナノゲルインキボールペン」を買ってみた(link).210円.大きく書かれているのは「世界最小0.25mmボール 筆記幅0.13mm」とあってミリ~マイクロのレベル.これに対応するインキがナノレベルで,「ナノ(10億分の1メートル)の世界に到達した超微粒径バイオポリマーを使用し,超激細のペン先からもスムーズにインキが出て,にじまずクリアに筆記できます」とのこと.たしかに軽く書いても滑らかにかけるかも.
『ステップフォード・ワイフ』(2004年)は1974年の同名映画『ステップフォードの妻たち』のリメイク.ステップフォード男性協会が,キャリアウーマンである妻たちを,夫に従順な理想的な妻に「改造」していた.これは”female improvement system”といって,脳にナノ・チップを埋め込んでプログラム化するという.しかし,最初にダンスしながら暴走して耳から火花が散ったサラやマイクは完全なロボットだった.多くの妻たちは「ナノ・リバーサル」というプログラム削除によって,元の人間に戻ったようだから,やはり脳にナノ・チップを埋め込まれていただけのようだ.ロボットなのか,脳にナノ・チップなのか,どっちにしたかったのか?町山さんの解説によると,最後のオチが試写のあとに付け加えられて,「前半の設定と決定的に矛盾してしまうので,うまく機能していない」(link)なので,中途半端になったのかもしれない.リメイクなんだから現代風にナノテクに統一した方が良かった.
日立製作所は「ずっと使うから ナノテク」のもとにナノテク家電を売り出し(link)。洗濯乾燥機(ナノチタン消臭)、エアコン(ナノチタン除菌・脱臭)、冷蔵庫(ナノチタン除菌・脱臭)、クリーナー(ナノチタン消臭)、除湿機(ナノチタン除菌・脱臭)、電子レンジ(ナノスチーム調理)、食器洗い乾燥機(ナノスチーム浸透洗浄)、ジャー炊飯器(ナノスチーム蒸らし)、空気清浄機(ナノチタン分解脱臭、ナノ多孔質吸着脱臭)、IHクッキングヒーター(ナノチタン消臭)。
エアコンのCMでは「日立の白くまくんは、花粉モードで花粉を見張ってナノテクで99%撃退、給気パワーで侵入も防いじゃう」、スチームオーブレンジのCMでは「ナノテクって10億分の1メートルの技術。においを消したり、お皿のよごれを落としたり、ごはんをおいしくしてくれる」、冷蔵庫のCMでは「冷凍鮮科はナノテクで湿度調節、冷凍やけを防いでうるおいKEEP、だから、おいしい」とナレーション。
最初に,新聞(Global Sun誌)を買うシーン.新聞の見出しは,Tiny Robots Deliver Drugs inside Human Body(微小なロボットが人体の中に薬を運ぶ)なのに字幕は「体内投薬 ナノマイト」.しかしこの段階で原文にない「ナノマイト」という言葉をわざわざ日本語字幕で出す必要はない.この映画の予告(「不条理系ナノテク・スリラー」)といい,ここの字幕といい,必要以上にナノテクを意識させるのは,ネタバレになっているし残念.「ナノテク」と名乗ると客が集まると映画会社が考えたのなら安易すぎ.ちなみに,上記記事の本文は細かくて読めないのだけど,2行目に「ファーム社」という言葉が見えるし,1面のトップ記事は,Farm Mega Merger,つまりファーム社が巨大な合併を実施というもので,ファーム社が野望を持った企業だということが示唆される.映画の中で最初に「ナノテク」が出てくるのは,「スマートソファ」(自在に色が変わる,自分で汚れを落とすソファ)のシーン.ただしこれは本筋とはあまり関係ない.結局,空箱に入っていたのは開発中の「ナノマイト Ver. 0.1(ワン・ポイント・オー)」,ファーム社が開発した超極小広告マシン.これを吸入したサイモンはファーム社のNature Fresh Milkばかり購入するようになる.(日本語公式サイト)
Society for Risk Aanalysis 2005には「ナノマテリアルとナノテクノロジーの政策形成のためのリスク管理課題のフレーミング:規制アプローチvs.自発的アプローチ」というセッションがあった。
M9.1 An Overview of Regulatory Considerations For FDA Regulated Products Incorporating Nanotechnology. Alderson NA; US Food and Drug Administration
M9.2 Nanotechnology: The Impact of the Proactive Consideration of Ethical, Environmental, Economic, Legal and Social Issues (NE3LS) on Policy Development in Canada . Sheremata L; University of Alberta
M9.3 In Search of a Consistent International Regulatory Approach. Kalpin M, Votaw J*; Wilmer Cutler Pickering Hale and Dorr LLP
M9.5 U.S. Environmental Protection Agency Perspectives on Regulating Nanotechnology. Willis J.; Chemical Control Division Office of Pollution Prevention and Toxics, U.S. EPA
M9.6 Social concerns about Nanotechnology and its Impact for Risk Governance. Renn O.; University of Stuttgart, Germany
M18.1 Nanobiotechnology: Responsible Action on Issues in Society and Ethics (Nanobio-RAISE) . Bennett DJ; European Federation of Biotechnology
M18.2 Regulatory Efforts of the NNCO. Teague EC; National Nanotechnology Coordination Office
M18.3 Regulatory Aspects Of Nanotechnology: What Regulatory Agencies Are Up To And How Agency Actions May Impact Commercial Developments. Bergeson LL; Bergeson & Campbell, P.C.
もうひとつ「リスク解析とナノテクノロジー:現在のパラダイムはどのくらいニーズを満たしているか?」より。
M27.1 U.S. and U.K. Media Coverage of Nanotechnology’s Environmental and Health Risks. Friedman S, Egolf B; Lehigh University
M27.2 Developing a Decision Framework with Underlying Uncertainty: A Case Study in Assessing the Safety of Nano-particles. Morgan Kara; US Food and Drug Administration
Environmental Law Institute(ELI)の「ナノテクノロジー・イニシアティブ」は、効果的なガバナンス体制を緊急に構築する必要があるという声明「不確実性を管理する:ナノテクの環境、健康、安全の課題」(pdf)を発表。
ガバナンス体制構築のために必須な仕事として次の4点を挙げた。
・すべての関連する現行法制度包括的な分析と規制監視枠組みの青写真の作成
・選択肢となる複数のガバナンスアプローチの評価
・包括的な国民への情報提供および国民参加のための戦略作り
・規制省庁と企業の負担する費用と人的資源を含めた、運営と実施に関する問題の検討
フラーレンがオオクチバスの脳に蓄積することを発見したEva Oberdorsterの研究への強力な反論が出たらしい.毒性が無いばかりか,抗酸化力で肝臓を守るとのこと.
Gharbi, N., Pressac, M., Hadchouel, M., Szwarc, H., Wilson, S. R. and Moussa, F. (2005). [60]Fullerene is a powerful antioxidant in vivo with no acute or subacute toxicity. Nano Letters 5 (12): 2578 -2585.
Science Communication誌の12月号は,ナノテクとマスメディア報道,一般人の認知などの特集号.
Bruce V. Lewenstein "Introduction—Nanotechnology and the Public"
Lowndes F. Stephens "News Narratives about Nano S&T in Major U.S. and Non-U.S. Newspapers"
Alison Anderson, Stuart Allan, Alan Petersen, and Clare Wilkinson "The Framing of Nanotechnologies in the British Newspaper Press"
Michael D. Cobb "Framing Effects on Public Opinion about Nanotechnology"
Chul-Joo Lee, Dietram A. Scheufele, and Bruce V. Lewenstein "Public Attitudes toward Emerging Technologies: Examining the Interactive Effects of Cognitions and Affect on Public Attitudes toward Nanotechnology"
Phil Macnaghten, Matthew B. Kearnes, and Brian Wynne "Nanotechnology, Governance, and Public Deliberation: What Role for the Social Sciences?"
Susanna Hornig Priest "Commentary—Room at the Bottom of Pandora's Box: Peril and Promise in Communicating Nanotechnology"
Joann M. Valenti and Gaugau Tavana "Report: Continuing Science Education for Environmental Journalists and Science Writers: In Situ With the Experts"
John Carey "Book Review: Nanofuture: What's Next for Nanotechnology"
JoAnn Myer Valenti "Book Review: Science and Sensibility: The Elegant Logic of the Universe"
Karl Grossman "Review: Alternative Media Aims at Environmental Issues"
David M. Berube著"Nano-hype: The Truth Behind the Nanotechnology Buzz"が発売.ナノハイプは日本語的には「ナノ空騒ぎ」か.著者はサウスカロライナ大学教授.ブログも.
Jan. 4, 2006 South Carolina center carves out nano ethics niche
サウスカロライナ大学のNanoCenterの紹介記事.280万ドルの連邦資金で,ナノテクの倫理的,社会的,法律的な影響を調査している.宗教学者まで雇おうとしているそうだ.一般市民の教育や参加を重視して,South Carolina Citizens' School of Nanotechnologyを開催.
Dec. 5, 2005 Nanotechnology Regulation Needed, Critics Say
ワシントンポストの記事。 規制を求める声が高まっているというれレポート。11月17日の下院科学委員会で、ナノテクの環境・安全・健康面の調査に年間1~2億ドル支出すべきだという声が上がったにもかかわらず、Woodrow Wilson International Center for ScholarsのRejeski氏によるとわずか600万ドルだそうだ。
Jan. 3, 2006 Curbing the Dogs of Hype
Coffee氏(コーヒー氏?)による自分自身のエッセイに関する話題。新刊、Lynn Foster著"Nanotechnology: Science, Innovation, and Opportunity"(link)の、Chapter 3: Fads and Hype in Technology: The Sargasso Sea of "Some Day Soon,"。日本語にすると、技術における熱狂と興奮:「いつかもうすぐ」のサルガッソー海、という感じか。サルガッソー海はバミューダトライアングルの中にある。他には、Chapter 19: Ethical Considerations in the Advance of Nanotechnology、が倫理問題を扱っている。
Jan. 3, 2006 Europe must invest in nanotechnology R&D
欧州科学財団(ESF)が報告書"ESF Forward Look on Nanomedicine 2005" (PDF)を発表。学際的な教育訓練の必要性や安全面の懸念も指摘。
Jan. 3, 2006 Buckyballs no cause for alarm
先月のBiophysical Journalに載った記事への反論。National Institute for NanotechnologyのFenniri氏は、C60は水に溶けないのでそもそもDNAに到達しない、と。
Jan. 4, 2006 Buckyballs may bind to DNA
これはBiophysical Journalの論文の紹介記事。シミュレーション。細胞核までほんとうに到達できるのかは不明。
行動経済学のさらに先に神経経済学がある.いまのところ,経済心理学で指摘されてきた様々な「非合理性」が脳の活動によって「説明」されていくというスタイルのものが多い.Science誌の2004年10月15日号に載った論文 「別々の神経系が,今すぐと将来の金銭的報酬の価値付けを行っている」では,行動経済学で提唱されている「準双曲割引モデル」に,脳科学的基礎付けが与えられた.タイトルにある「別々の神経系」とは,新しい脳であり,理性をつかさどる前頭前野と,古い脳であり,動物的本能や衝動的行動をつかさどる辺縁系のことである.準双曲割引(quasi-hyperbolic discounting)モデルでは,「今すぐ」という選択に対して,0~1の間の係数がかかる(=近視眼的な選択を高く評価する).それ以降では,この係数が,辺縁系の活動と関連していることが示された. 茂木健一郎氏が『脳と創造性』で神経経済学に触れているし,「サイゾー」6月号のコラムでは山形浩生氏が「やった!割引率の生物学的基礎をつくりあげて、人の迷いと後悔を説明した、すごくおもしろい本を訳すことになった!」と書いている.これは多分,Paul W. Glimcherの"Decisions, Uncertainty, and the Brain : The Science of Neuroeconomics"(2004年)だろう.Glimcher氏は先に紹介した論文と同じ号に,「神経系在学:脳と決定の一致」というレビュー論文を書いている.もっと一般向けなら,Terry Burnham著"Mean Markets and Lizard Brains: How to Profit from the New Science of Irrationality"(2005)もある.これは,衝動的行動をつかさどる辺縁系を「とかげ脳(lizard brain)」と呼び,神経経済学の成果を,実際の投資行動などに応用する方法を提案している.ただし,内容は米国人向けに書かれているので,エッセンスを盗んで日本人向けに書き直したら売れそうだ.
キリスト教徒にとって不吉な日とされる13日の金曜日の「不吉さ」を定量的に実証しようとする試みが出てくるのは自然な流れだろう.1993年,ここでもBMJに,13日の金曜日と1週間前の6日の金曜日の英国での交通事故の数を比較した調査が掲載された.交通量は13日の方が少なかったのに,交通事故による入院患者は13日の方が統計的に有意に多かった(65 vs. 45, p<0.05).ただ,これは母数が少なすぎる.2002年,American Journal of Psychiatry誌に,フィンランドを対象に,1971年から1997年の27年間の交通事故死亡統計を解析した結果が報告された.13日の金曜日は他の金曜日に比べて,男性の死者数は増やさないが(1.02,95%信頼区間0.81~1.28),女性の死者数を有意に増やした(1.63,95%信頼区間1.19~2.25).13日の金曜日の女性の死亡の38%が「13日の金曜日効果」によるものとなった.著者らはその理由として女性が迷信に弱い傾向があることを挙げた.この調査結果は大きく報道された.ただし,この研究には,死亡日と事故日は必ずしも一致しないのでは?という指摘がなされている.そして2004年秋,BMC Public Health誌に,ヘルシンキ大学の研究者が反証を出してきた.彼らは上記研究の不備を多数指摘したうえで,1989年から2002年までのフィンランドの道路事故データベースを使って,21回ある13日の金曜日をそれぞれその前後の金曜日と,死者数,負傷者数,関係者数を比較した.その結果,13日の金曜日効果も,男女差もまったく見られなかった.ただし,13日の金曜日を恐れる人々が,外出を控えたり,自家用車じゃなくて公共交通機関を使ったりした可能性は否定できない.
2001年12月,BMJに奇妙な論文が掲載された.タイトルは「血流感染の患者に対する,遠隔的遡及的祈祷の効果:ランダム化比較試験」.最も奇妙なところは「遡及的」にある.病気の帰結が出てしまっている時点において,患者を2群に分けて,片方の群に割り振られた患者のファーストネーム(!)が祈祷師に渡され,祈祷が行われた.つまり,その時点で彼らの運命は決まっている.ただしもちろん祈祷師には知らされていない.さらに驚くべきことに,「祈祷の効果があった」というのがこの論文の結論であった.死亡率には有意差がなかったが,入院日数(P=0.01)と発熱日数(P=0.04)では有意差があった.この実験が正しいとしたら,何を証明したことになるのだろう?神の存在?また,著者らは「この介入は費用効果的で,おそらく副作用がないので,臨床的に実施することを検討すべき」とまで言っている.でも,結果が出てから介入するとは?この研究でもし全員に祈祷が行われたらどうなっていたのだろうか?歴史が変わったのだろうか?2003年12月,またもやBMJに「遡及的祈祷:途方もない仮説?」という擁護論文が載ってしまった.しかし,2004年12月にBMJに発表された「遡及的祈祷:たくさんの歴史,あまり多くない謎,まったくない科学」によって遡及的祈祷の話に決着が付けられた(たぶん).遡及的祈祷の効果を示したとする論文の不備をひとつひとつ明らかにし,そんなメカニズムを基礎付ける科学もないことを示した.しかし,遠隔的祈祷ならまだしも,遡及的祈祷とは・・・よくもそんなランダム化比較試験を思いついたなあ.宗教的な信念や精神性に統計解析をもちこむっていうのはどうなんだろう?2001年の論文では祈祷の効果(神の存在?)を示すために統計解析を用いたんだけど,逆にパンドラの箱を開いてしまったのではないだろうか.おみくじとか絵馬なんかの効果を厳密に解析することになったら?と想像してみよう.
米国のダイオキシン類の発生源インベントリー(外部レビュードラフト)が発表された。最新の2000年の推計では第1位が「裏庭でのゴミ焼却」で2位の「医療廃棄物焼却」と合わせて半分以上を占める。1987年には総量で14kgであったのが、1995年には3kg、そして2000年には1.5kgに減った。一般廃棄物焼却施設からの排出量が最も大きく削減されている(8.9kg→1.3kg→79g)。裏庭でのゴミ焼却はあまり減っていない(604g→628g→499g)ために相対的に1位になってしまった。
喫煙は百害あって一利無しと言われるが,出生前に母親のタバコの煙に曝露した女性は,乳がんになる確率が低くなりそうだという疫学調査が報告された.相対リスク値が0.49(95%信頼区間が0.24~1.03)で必ずしも有意ではないが,そのメカニズムは以前から仮説としてあった.すなわち,妊娠中の喫煙→女性ホルモンレベルを下げる→胎児の女性ホルモン曝露が減る→乳がんリスクが減る,というものである.とはいっても,妊娠中の喫煙は,娘の乳がんリスクを少し下げるなんてことよりもずっと大きな健康リスクを生むことは言うまでもない.(William C. Strohsnitter et al. Breast Cancer Incidence in Women Prenatally Exposed to Maternal Cigarette Smoke. Epidemiology 16(3): 342-345, 2005.)
二酸化炭素の濃度が増えると地球は温暖化するが、これまでは工業化により粒子状物質の濃度も増えていたために温暖化を少し相殺していた。 1960~1990年の間の粒子状物質が増えたことによって地上に届く太陽放射が5%削減されたという。これは"global dimming"(地球薄暗化?)。しかし1990年以降、環境規制などによって粒子状物質濃度は欧州や東欧、最近では日本や北米でも減り始めた。これが "global brightening"(地球光輝化?)だ。(Martin Wild et al. From dimming to brightening: decadal changes in solar radiation at earth’s surface. Science 308: 847-850, 2005)