May 13, 2005

ダイオキシン類の発生源

米国のダイオキシン類の発生源インベントリー(外部レビュードラフト)が発表された。最新の2000年の推計では第1位が「裏庭でのゴミ焼却」で2位の「医療廃棄物焼却」と合わせて半分以上を占める。1987年には総量で14kgであったのが、1995年には3kg、そして2000年には1.5kgに減った。一般廃棄物焼却施設からの排出量が最も大きく削減されている(8.9kg→1.3kg→79g)。裏庭でのゴミ焼却はあまり減っていない(604g→628g→499g)ために相対的に1位になってしまった。

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Mar 07, 2005

水銀

Leonardo Trasande, Philip J. Landrigan, Clyde Schechter (2005). Public health and economic consequences of methylmercury toxicity to the developing brain. Environmental Health Perspectives (pdf)
米国の妊婦の水銀の主要な曝露経路は魚介類の摂取で、そこに含まれる水銀の70%が人為起源(うち40%が発電所)、残りの30%が自然起源。エンドポイントは、IQの低下(→生涯にわたり経済生産性が落ちる)。臍帯血中水銀濃度が5.8μg/Lを超える(→IQの低下が起こる)子供が毎年32~64万人。水銀曝露による年間の経済的費用は、$87億(22~438億)となった。このうち、$13億(1~65億)が発電所起因。

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アクリルアミド

Acrylamide levels in food should be reduced because of public health concern says UN expert committee

2002年にスウェーデンの研究者が発表して火がつきかけたアクリルアミド騒動は、やっぱり人にはたいしたリスクはないかも、という感じに収束しつつあった(ように見えた)。FAOとWHOの報告書によると、まだまだ毒性メカニズムに不確実性があるから、摂取量の削減を続けるべきだ、とのこと。

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Feb 03, 2005

発がん物質

米国Department of Health and Human Servicesが「発がん物質に関する第11次報告書」(11th Report on Carcinogens)を発表。
17物質を加えて合計246物質に("known"が58、"reasonably anticipated"が188)。
初めてウィルス類がリストに載った。

☆"known human carcinogens"カテゴリーに加わったもの
・B型肝炎ウィルス(HBV)&C型肝炎ウィルス(HCV)
・ヒト乳頭種ウィルス(HPVs)・・・性的感染
・X線放射線&ガンマ放射線・・・曝露の55%は医療、43%はラドン、2%が産業利用
・中性子・・・宇宙放射線

☆"reasonably anticipated to be human carcinogens"カテゴリーに加わったもの
・ナフタリン・・・中間体や防虫剤の成分
・MelQ、MelQx、PhlP・・・肉や卵を高温で焼いたときに生じる複素環アミン化合物
・鉛・・・ヒト疫学で肺や胃のがんが少し増加
・硫酸コバルト・・・電気めっきに利用
・ジアゾアミノベンゼン・・・染料の中間体
・ニトロベンゼン・・・化学物質原料
・1-アミノ-2,4-ジブロモアントラキノン・・・繊維工業で用いられる染料
・4,4'-チオジアニリン・・・染料の中間体
・ニトロメタン・・・燃料、薬品等の原料

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Jan 20, 2005

過塩素酸塩

perchlorate(過塩素酸塩)について、米国National AcademiesのNational Research Councilが報告書を発表、そのpress releaseで、米国EPAが2002年に仮に提案したRfD(参照用量)である0.00003mg/kg-bw/dayの23倍の数字である0.0007mg/kg-bw/dayを、最も感受性の高い集団でも安全な値として提案した、と書いた(link)。perchlorateは主に飲料水を通して摂取される。ロケット燃料に含まれてる物質であるだけに、規制値を下げるような展開は、政治的な介入(国防関係)があったのではないかと疑われやすい。当然、環境保護系の団体であるNRDCはそのように批判(link)。と思ったら、意外な展開。同じ環境保護系のEWGは、EPAや各州の厳しい基準値を裏付けた、と報告書を支持(link)。どっちが正しいんだ?と誰もが思うところだけど、どうやらEWGが正しいらしい。鍵は、1日摂取量(様々な経路からの摂取の合計)であるRfDと飲料水中濃度基準値(子供への影響を考慮する必要がある)の関係にあった(link)。

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Aug 22, 2004

ビスフェノールA/HCRA

Harvard Center for Risk Analysis (HCRA)の"Risk in Perspective"最新号は、ビスフェノールA。HCRAが召集したパネルが2002年に出した報告書の要約(link)。結論は、「低用量影響の証拠の重み(weight of the evidence)は非常に弱い」というもの。ビスフェノールAのリスク評価であると同時に、科学的データが不十分なときに問題にどう取り組むかの事例として重要。動物実験を評価するために用いられた基準は、再現性、厳密さ(GLPに従ってるか)、統計的検出力、普遍性(同じ影響が複数の実験で出ているか)、近似性(ヒト曝露の状況に近いか)、生物学的メカニズム(他の物質と共通のメカニズムがあるか、ヒトにも適用できるか)。論文としても、もうすぐ発表される→Gray GM, Cohen JT, Cunha G, Hughes C, McConnell EE, Rhomberg L, Sipes IG, Mattison D (2004). Weight of the evidence evaluation of low-dose reproductive and developmental effects of bisphenol A. Human and Ecological Risk Assessment (in press) .

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POPs / EU

POPsに関する国際条約は現在2つある。ひとつは、UNの環境プログラムのもとで交渉されたストックホルム条約。これには12物質が挙げられている。もうひとつは、UNECEのもとで交渉された長距離越境大気汚染に関する条約。これには16物質が挙げられている。
欧州は新たに以下の9物質(最初の3物質はUNECEの国際条約では規制されている)をPOPsとして規制されることを提案する。(news
・Chlordecone(クロルデコン、殺虫剤)
・Hexabromobiphenyl(ヘキサブロモビフェニール、難燃剤)
・Hexachlorocyclohexane(ヘキサクロロシクロヘキサン)
・Hexachlorobutadiene(ヘキサクロロブタジエン)
・Octabromodiphenyl ether (octaBDE、難燃剤)
・Pentabromodiphenyl ether (pentaBDE、難燃剤)
・Pentachlorobenzene(ペンタクロロベンゼン、)
・Polychlorinated naphthalenes(ポリ塩化ナフタレン)
・Short-chained chlorinated paraffins(短鎖塩素化パラフィン)

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Jul 06, 2004

ホルムアルデヒド/疫学

2003年から2004年の疫学をさっと見てみると、
Coggon et al. (2003)・・・14014人の労働者を対象。(鼻腔癌、鼻咽頭癌、肺癌が疑わしいものの)統計的に有意な増加無し。
Pikerton et al. (2003)・・・11039人の労働者を対象。白血病(とくに骨髄性白血病)が有意な増加。鼻腔・鼻咽頭癌は観察されず、気管・気管支・肺癌は有意な増加無し。
Hauptmann et al. (2003)・・・25619人の労働者を対象(リンパ腺・造血器癌について)。白血病(とくに骨髄性白血病)が有意な増加。
Hauptmann et al. (2004)・・・上と労働者を対象(固形癌について)。鼻咽頭癌による死亡と曝露反応関係が見出された。

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IARC/ホルムアルデヒド

IARCは、疫学研究による知見が十分に蓄積されたと判断して、ホルムアルデヒドの発癌性評価を、probably carcinogenic to humansから、carcinogenic to humansに格上げした(link) 。鼻咽頭癌という先進国には珍しい癌について因果関係を認めた。ほかには、鼻腔、副鼻腔、白血病については疑わしいが証拠不十分とみなした。IARC MonographsのVolume 88となる予定。けっこう大きなニュースだと思うんだけど報道はほとんど見かけない。

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Jun 06, 2004

難燃剤/パソコン

環境団体の連合体である、Computer Take Back Campaignが、報告書"Brominated Flame Retardants in Dust on Computers: the case for safer chemicals and better computer design"を発表。コンピュータについている塵から、臭素化難燃剤(BFRs)であるPBDEsが検出。このうち、pentaとoctaは今年中に生産中止が決定しているが、decaについては規制がない。(PDF)

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